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立川談志休養につき、談笑と花緑を加えて「談志十八番に挑む」となりました。
入場料も5000円のまま、総出の代演ですから、これは各者、気合が入るだろうという期待です。 全員たっぷりで非常に楽しく、充実した落語会でした。 《演目》 ○洒落小町 立川らく兵 ○二人旅 立川志らく ○粗忽長屋 立川 談笑 ~中入り~ ○お化け長屋 柳亭 市馬 ○二階ぞめき 柳家 花緑 らく兵はまだ前座ですが、一門の二ツ目よりよほどいい。77年生まれということですから、年齢もあるけれども、彼は間もなく兄弟子を抜くでしょう。洒落小町といえば、家元はもちろん、師匠志らくの出世作のひとつ。それをここまでオリジナルでこなす力量はたいしたものです。 つづく
桂三木男が出るので、スカイAの「らくごくら」(いつかは朝日名人会)を見ました。
前座で駒春といっていたとき、あまりに口跡がきれいなので、何者かと驚いたのですが、初代三木助の孫にあたります。前座なのに、大きなホール落語に出ること自体、破格なのですが。 演目は「猿後家」。やっぱりうまいのです。天性のものか、育ちかはわかりませんが、この若さで、このように登場人物を仕分けて喋れる人は、まずいない。うまくてまことに嫌味がない。気持ちがよいのです。 しかも、この「猿後家」は立川志の輔の猿後家でした。ほぼコピーなので、志の輔に稽古をつけてもらったことは明白です。 立川流に稽古をつけてもらいにゆく、ということについて「あっ」という気がした。 しかも志の輔です。金原亭にいる三木助の孫が、立川志の輔のところにゆく。 落語会全体のポジションを考えれば、志の輔のところにゆくのは何もおかしなことではないのですが、志の輔ほど落語界から遠い落語家もいない気がする。談春は落語協会となかよしで、末廣の余一会にも出るし、志らくはオーソドックスな落語家です。 少なくとも、毎年パルコに新作をかけたりはしない。 というわけで、注目の三木男です。うまいだけでなく、明るくてさわやか。内幸町ホールでの独演会も始めました。そう遠くないうちに、三三に続く期待の若手真打になるでしょう。志の吉もがんばれ。
わたしがはじめて山口晃その人を知ったのは、東京大学出版会が発行しているPR誌、『UP』に連載していたマンガ、「すずしろ日記」でありました。内容は日常雑記ですが、そのへなちょこぶりは筋がとおっていて、「脱力系」などといってしまいたくないものでした。
「さて、大山崎」は、山口晃と大山崎山荘美術館の展覧会です。 山口晃が大山崎でやるのでも、大山崎で山口晃をやるのでものない、両方の展覧会であるところが珍しい。その模様は、出品されている爆笑マンガ、「すずしろ日記 さて大山崎」がもっともよく伝えています。マンガに登場するのは「Y氏」。 アサヒビール大山崎山荘は、実業家加賀正太郎の山荘をアサヒビールが買い取って美術館にしたもので、天王山の上に位置しています。ハーフティンバーのとても趣のある建物は、景観ともに得がたい空間です。そこの学芸員「Y氏」は、大山崎にちなむさまざまな人と山口を引き合わせたり、周辺を回らせたりさまざまに画策します。それらのエピソードは、図録の中ではY氏が経過報告として伝え、マンガのなかでは山口がありがた迷惑として描くのです。 作品の中には「折りたたみ茶室」のような既作品もありますが、そのほとんど――天王山の戦に関する図、大山崎の俯瞰図、サンルームで育てている「蘭」を戦闘機に模したデッサンなど――は大山崎にちなむものです。従って、大半は大山崎山荘でないと意味がない。大変贅沢な趣向といえるのです。 さらに、それらの作品一点一点が「十番勝負の一手」のようにもみえる。 最大傑作は、安藤忠雄設計による新館の壁面を利用した「壁面見立」です。 新館は、穏やかで居心地のよい本館とはうってかわって、コンクリートの半地下にあり、宇宙ステーションのような自動ドアが開いて、いきなり警備員が立っています。そこには、非常に高価なモネの睡蓮がある。その睡蓮の額の合間に、四角く切り取られたライトがあたっています。これが「壁面見立」。つまり、壁の一部を切り出して、うっすら浮かび上がる、凝ったコンクリートの模様の一部を何かに見立てるのです。 諧謔に満ちた、いわば、江戸の粋人や、ジャズメンがやるような遊びですが、何しろ安藤忠雄設計のいかにもな空間に印象派の代表作。はめ込み式のガラスケースには、文化財級の陶器も展示されている。そこでいきなり、「見立 沢蟹」です。安藤忠雄とモネの間で、山口晃は、ほとんど尻はしょりで綱渡りする幇間のようです。 デュシャンなど引き合いに出して「批判的」といったりしてもいいのですが、どっちかというと笑ったほうが得。ところで、こんなことが起きているのに、警備員は警備しなくていいのか? 大山崎山荘はなかなか手ごわく、山口作品をもってしても制覇は難しいと思われたのですが、この一戦で完全に互角の勝負となりました。最近では「コラボ」ということばがはやっていますが、本物のコラボレーションは大山崎にありました。 山口晃展 さて、大山崎 http://www.asahibeer-oyamazaki.com/tokubetu/syosai22/index.html ミヅマ・アートギャラリー 山口晃 http://mizuma-art.co.jp/artist/0250/
真夏の、ネタおろしの「ピン」できいたお直しがよかったので期待しましたが、よくありませんでした。全般的に、あまり集中力がない感じ。下丸子の「茶の湯」ぐらいのナンセンスで笑いたかったのですが、演目ももうひとつ。
来月のピンはパスしたほうがよさそうです。お芝居が終わってからかな。ブロッサムの忠臣蔵を楽しみにしましょう。 《演目》 ○開口一番 らく次 ○雑俳・小町 志らく ○禁酒番屋 志らく ~中入り~ ○お直し 志らく # by brary | 2009-01-16 00:16
談春について何か書くのは、とても難しくなってしまいました。
業界の人たちが大勢取り巻いているので、今さらなあとも思います。チケットがとりづらくなってしまって、年に2、3回しか見ていないので、ちょっと流れがつかめないということもあります。(土曜日の朝に新宿に並ぶということは不可能なので、紀伊国屋ホールで行われる落語会には行けません。) けれども(無理やり空気をポンプでおなかに入れられたみたいなことにもなっているのに)、彼は天狗にならない代わりに遠慮もしない、ということをかなり一生懸命やっているようにみえます。それは、大変な努力と思います。正直なところ、談春の会の雰囲気はきらいになりましたが、談春本人に嫌らしさを感じたことは一度もありません。 志の輔の「妾馬」、すなわち「八五郎出世せず」は本当によく練られていて大好きですが、談春の八五郎はもっと好きかもしれません。志の輔の落語は、すばらしいけれども、どこか予定調和的なしっかりしたまとまりがある。けれども、談春はもうちょっといきあたりばったりなところがある。 彼の持ち味である「シャイ」さによって、「完璧にしない」ところがある。 志の輔の八五郎は、世継ぎを生んだ妹の兄として殿様に気に入られ、士分にとりたてられるところを断ります。彼の人柄は最初から最後まで筋が通っているのですが、談春の八五郎はお屋敷に行って、酒を飲んではじめて展開する。 とりわけ長い、この酒をのみながらのひとり語りは聴きどころですが、気持ちよく酔い、思わず妹や母親へのやさしさを口にしてしまうのは、「偶然の産物」のように思われるのです。もちろん、八五郎の性根ではあるけれど、さほど立派な男というわけではない。 次回飲んだときに、同じである保証はない。ひとつ間違えば喧嘩しかねない。 それは、ほかの人にはない、談春の絶大な魅力。 おつると八五郎のおっかさんが、八五郎に向かって「兄貴」と言っているように聴こえましたが、それは「お前」とか「ハチ」とかにしていただきたい、というようなことはありますが、「妾馬」は談春のよさがもっともよくでる噺のひとつであろうかと思います。 《演目》 小言幸平衛 談春 ~中入り~ 妾馬 談春
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